素材　：　チェリー　
仕上　：　オイル仕上げ
サイズ　：　1200（丸）×340（高）

ローテーブルのご相談をいただきました。

お客様の昔の思い出の中に、子供の頃、家族全員で大きな円卓を囲んで食事をした記憶が鮮明に残っており、そのようなテーブルが欲しいと何年もの間思われていたそうです。　　　折に触れ、いろいろと探してはみたのだけれど、いいものが見つからない・・・・もう、あのようなテーブルにはめぐり合うことができないのかな？　　と思っていたところ、たまたま私の展示会をご覧いただき、ご相談をいただくことになりました。　　　

めぐり合わせと言うのは不思議なもので、単なる偶然以上の物をちょっと感じてしまいます。　　ともあれ、お客様の何十年越しの思いを形にするわけですから責任は重大です。　　

打ち合わせに際して、まずは大きさです。　　やはり昔の思い出を現代に再現する為に、大きな天板にしたいとのことで合意、4人がゆったり座れ、6人くらいまで対応できるよう直径1200ミリにしました。

材種について、いろいろな素材のサンプルを前にあれこれ悩むこととなったのですが、チェリーの質感と色合いがやはりどうしても忘れられない。　　せっかくの注文家具なので、やはり最も気に入った素材を使いたい・・・ということでチェリーに決定しました。

直径1200ミリは、狭い私の工房で作るには上限に近い大きさで、天板を作る為にいろいろと治具（加工用の補助器具）を工夫するところから検討はスタートしました。　　　木目の選定と、天板を接着する前の荒削りや養生にも充分な時間をかけ、少しずつ、亀の歩みのような速度で仕上げて行きました。

形が決まり、天板の鉋がけをして、艶のある木肌を見た時はちょっと感慨深いものがありました。　　自画自賛ですが、うん、やはりチェリーは素晴らしい・・・・改めてそう感じました。

時代を超えて、現代に再現されたテーブルになったでしょうか？　　またここから新しい歴史が始まるのであれば、作り手としてとても嬉しく思います。　　どうぞ末永くご愛顧ください。