天板の厚みが40ミリほどもある重厚なローテーブルです。
どっしりと風格が漂いますね。

しかし、このローテーブル、ただのテーブルではありません。
それは・・・



作品タイトルで既にお分かりのことと思いますが・・・

そう、こたつなのです。

ホームページをご覧になり、お問い合わせをいただきました。
チェリーの天然木を用いて、こたつ仕立てのローテーブルを　とのご要望でした。


天然木を用いてのこたつ製作は、実はかなり難しく、頭を悩ませながらの設計となりました。

また、天板裏はこんな感じ。
両端の橋バメに加えて、さらに反り止めの桟を二本追加しています。

さらに、天板中心部を外周部よりも薄くすることで反りの力を弱め、同時に軽量化するようにしました。

ちなみに、ところどころについている黒い丸はほくろ・・・ではなく、すべりどめシートです。

天板は置くだけで、滑ったりぐらつくことはありません。

天然木は、そのまま放っておくと温湿度の変化で伸び縮みし、また、反ったり捻れたりもします。

通常のテーブルであれば、天板を脚周りにしっかりと固定するため問題はおきませんが、こたつの場合、そうはいきません。
こたつですので、天板は固定されることなく、上から置くのみです。

そして、さらに悪いことに、下から熱であぶられるという過酷な条件にさらされることにもなります。

そこで、幾つかの構造的工夫をしました。
まずは、上の写真にあるように、短辺側に木を直交させる「端バメ」を取り付けました。

これが反り止めの役目を果たします。

足入しやすいように、長辺側の幕板はカーブで仕上げました。

ちょっとした事ですが、ずいぶん足元が広がります。
デザイン的にも面白いですね。

その困難さ故、天然木のこたつは滅多に見ることはないと思いますが、技術的な工夫により製作は可能です。

ただし、ホットカーペットを使っての温め方式のみ。
天板裏に電熱器を取り付けることは条件が過酷になり過ぎますので、残念ながらできません。

この点、ご留意くださいませ。

あたたかいこたつ。
天然木だと、さらにその温かさが増しそうですね。

夏はローテーブル、冬はこたつ、天然木のテーブル。
一年を通してご愛顧いただきますよう。

到着してすぐに４歳の娘が『これいいね〜』と言いながら、テーブルを撫でていました。
ご飯の時も『新しいテーブルで４人一緒に食べるのおいしいね』とニコニコでした♪
子供ながらに自然の木から受ける温もりを感じとってくれたのかな？と私も更に温かい気持ちになりました。

一つのテーブルを中心にご飯やおやつを食べたり、おもちゃで遊んだり、読書や晩酌でゆったりとした時を過ごしたい。

２人の子供が大きくなっても、狭すぎず離れすぎず、心地よい距離でテーブルを囲んでいたい。
この願いを叶えてくださり、本当に感謝しております。


過分なご評価をいただき恐縮しています・・・

厚みのある、重厚なイメージでありつつ、反りなどの不具合をできるだけ起こさないようにする・・・
天然木を扱う者として難しいテーマでありましたが、何とか設計の目処もつき、無事制作することができました。

そのため、完成した時の喜びもまたひとしおで、また、私にとって新しい可能性を広げる得難い機会ともなりました。

このようなチャンスを与えてくださったことに、改めて感謝申し上げます。

どうぞ、長くご愛顧いただきますよう。